

カレンダー・スプレッドの狙い

スプレッド取引(オプションの組合せ)の中でぜひ修得してほしい戦略に、「カレンダー・スプレッド」があります。
カレンダー・スプレッドは、「タイム・スプレッド」ともいい、コール(またはプット)の異限月間のスプレッド取引です。
日経225オプションでは、取引できる(流動性のある)限月が限られているので、限月の選択に迷うことはないでしょう。
当限のコール(またはプット)を売り、次限月のコール(またはプット)を買います。カレンダー・スプレッドでは、必ず手前(残存日数のより少ない)限月を売り、その次の(残存日数のより多い)限月を買います。
プレミアムは、買い玉のプレミアムの方が売り玉のプレミアムより大きいので、トータルで「支払い」(デビット)になります。
カレンダー・スプレッドは、株価(日経225)が一定のレンジで動く中で、当限オプションの時間価値が剥げることによって利益を上げる、というメカニズムなのです。
カレンダー・スプレッドと、単なるオプション「売り戦略」の違いは、カレンダー・スプレッドは、売り玉が買い玉によってヘッジされているということです。
たとえば、日経225オプションにおいて、日経225が8700円のとき、「11月限 9000-コール」を売り、「12月限 9000-コール」を買うカレンダー・スプレッドを仕掛けたとします。 その後、日経225が9500円まで上昇したと仮定すると、売り玉はイン・ザ・マネーで損失が発生しますが、この損失は買い玉の利益によってカバーされます。このように、カレンダー・スプレッドは、「売り戦略」より優位な側面をもっています。
カレンダー・スプレッド仕掛けのタイミングやポイント
日経225が8714円のときに、「2002年11月限 9000-コール」を1枚155円で売り、「2002年12月限 9000-コール」を315円で買ったとします。 このときのポジションは下図のようになります。

カレンダー・スプレッドでは期近を売って、期先を買います。図のポジションだと、ネットで160円の支払いになります。したがって、2002年11月限の期日までに、ネット(差引き)のプレミアムが160円を超えれば利益になります。つまり「ネットのプレミアムが160円を超える状況」考えてみるのです。
日経225の動きは、以下の3パターンが考えられます。
1.日経225が2002年11月限の期日までの間に、あまり変動しない場合
2.日経225が同期間において、大きく上昇した場合
3.日経225が同期間において、大きく下落した場合
この条件でポジションが利益になる状況と、損失になる状況を考えるのです。
カレンダー・スプレッドにおける最大のポイントは、オプション独自の特性である「時間価値の減少」にあります。
つまり、カレンダー・スプレッドにおいては、原資産の動きだけでなく、オプションの特性である「時間価値」の変化を考慮しなければなりません。
オプションのカレンダー・スプレッドでは、むしろ「時間価値の減少」を利用して利益を上げる場合が多いのです。
下図は、ポジションの損益が、期日においてどう変化するのかの一例です。

これは、11月限の期日における損益のプロジェクション(予想)にすぎません。
オプションのスプレッドの場合、先物のサヤ取りと異なり、原資産(この場合、日経225の価格)の水準によって、損益がはっきりと確定しません。
また、残存期間、デルタ(原資産の変化に対するオプション・プレミアムの変化の割合)、IV(予想変動率)によって、損益が変わります。
当然ながら、期日前であっても、利益が出ている時点で、あるいは、一定の損失を超えた時点で手仕舞ってもかまわないのです。
カレンダー・スプレッドのポジション管理
カレンダー・スプレッドの損益のプロジェクション(原資産である日経225の水準によるスプレッドの売り玉と買い玉のプレミアム、および損益の予想)をもう一度見てください。
カレンダー・スプレッドは、先物におけるサヤ取りと異なり、原資産の水準及び残存日数の減少によって起こるタイム・ディケイのためにプレミアムが変化し、これによってスプレッド・ポジションの損益が変わります。
それを十分に理解する必要があります。
例としまして、以下の2つのケースから説明します。
■ ケース1
日経225が期近限月の期日までに、権利行使価格を上回らずに満期を迎える場合で、さらに、日経225がさがった場合:
1.小規模の下落
2.大きく下落
■ ケース2
日経225が期近限月の期日までに、権利行使価格を上回って満期を迎える場合で、さらに、日経225が上がった場合:
1.小規模の上昇
2.大きく上昇
これらのケースのおける損益を予想し、ポジションを管理する必要があります。ポジションの管理とは、どの水準で利益を確保するか、あるいは損切りをおこなうかを想定し、対処することです。
オプションの原資産は日経225の現物株価指数です、オプションにおけるカレンダー・スプレッドでは、限月が異なっていても、原資産である日系225そのものは同じであるため、先物取引のように限月間のサヤの変化を利用して利益を上げることはできません。
オプションやカレンダー・スプレッドでは、あくまで、タイム・ディケイまたはオプション・プレミアムの変化を利用します。
タイム・ディケイを利用したカレンダー・スプレッド
オプション・プレミアムが「時間価値」と「本質価値」から成り立っているます。時間価値は、時間とともに減少します。
これを「タイム・ディケイ」といいます。
重要なのは、時間価値の減少は、時間の経過に比例するのではなく、オプション期日が近づくと”急減”する、ということです。
カレンダー・スプレッドは、この性質を利用します。つまり、残存日数の少ない期近限月のオプションを買っておくのです。
ただし、カレンダー・スプレッドにおいて、注意しなければならないことがあります。
それは、スプレッド取引なので、買っている期近限月のプレミアムが、売っている期近限月のプレミアム以上に下がると利益を得られない、ということです。
言い換えると、買っている期近限月のオプションのIVが、期近限月のオプションのIVよりも急激に減少するか、原資産の価格が一定幅を超えて上昇、または下落する場合です。
一般の投資家の方は、限月ごとのIVのデータを入手するのはむずかしいので、もっぱらオプション価格の変化を追います。
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